授業開始から半年、礼一たちの乗るスペシャルトレインの次の停車駅は、惑星デロカにある三大陸の中央に位置し、様々な職業や人種の人々が集う巨大人工都市ツェーダーだった。海洋上に築かれたこの街で、礼一はヒルベルという少年と出逢う。ツェーダー最下層のスラムに暮らし、高層ビルの窓を清掃することで日々の糧を得るヒルベル―。自らとあまりに違う境遇の少年の姿は、礼一の心に見えない波紋を拡げてゆく。一方そのころツェーダーには、観測史上最大級の超大型台風が接近していた。倉田英之渾身のシリーズ第5弾。